Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
とらわれびと
捕われ人
小川 未明
Lesen Sie 捕われ人 (とらわれびと) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.311 Zeichen · 9 Bildschirme
褐色のシャツを着た悪者は、小屋の方へ行ったがやがて襤褸片で刃をぐるぐると巻き附けた大きな鉞を持ち出して来た。黒い襤褸には何だか腥い血の染みが附着しているようだ。――幾人この山奥でこの鉞にかかって命を落した人があるか知れない。そういえば捕われ人の前に置れた桶の赤黒いのも人の血潮で染った色に相違ないと思った。今迄下を向いて、眤と一所を見詰ていた捕れた男は真青に血の気の失せた顔を上げて、ドシンと大地に下した鉞の方を見遣った。が直様また下を向いて自分の膝のあたりを見詰めていた。――もう自分の殺される時が近づいたと覚悟をしたのであろう。捕われた男の眼からは別に涙が流れて落ちなかった。悪者の一人は片足で地面に折れたままの鉄砲が捨てられていたのを蹴って除けた。鉞を持ち出して来た男は其処に手強く鉞を置くとまた小屋の方に立去った。今迄男の前に立って両腕を組んで、足で折れた鉄砲を蹴やった一番丈の高い獰悪な面構をした眼の怪しく光る黒い洋服を着た男はこの時頻と気を揉むように四辺を歩き廻り始めた。
しかし口には何事も言わずにただ身形や容子で――もう日が暮れて時刻が遅くなるぞ。