Japanische Klassiker mit Furigana
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すてご
捨児
Lesen Sie 捨児 (すてご) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.695 Zeichen · 10 Bildschirme
しかしこれは捨児を種に、悪事でもたくらむつもりだったのでしょう。よくよく問い質して見ると、疑わしい事ばかりでしたから、癇癖の強い日錚和尚は、ほとんど腕力を振わないばかりに、さんざん毒舌を加えた揚句、即座に追い払ってしまいました。
「すると明治二十七年の冬、世間は日清戦争の噂に湧き返っている時でしたが、やはり十六日の説教日に、和尚が庫裡から帰って来ると、品の好い三十四五の女が、しとやかに後を追って来ました。庫裡には釜をかけた囲炉裡の側に、勇之助が蜜柑を剥いている。――その姿を一目見るが早いか、女は何の取付きもなく、和尚の前へ手をついて、震える声を抑えながら、「私はこの子の母親でございますが、」と、思い切ったように云ったそうです。これにはさすがの日錚和尚も、しばらくは呆気にとられたまま、挨拶の言葉さえ出ませんでした。が、女は和尚に頓着なく、じっと畳を見つめながら、ほとんど暗誦でもしているように――と云って心の激動は、体中に露われているのですが――今日までの養育の礼を一々叮嚀に述べ出すのです。
「それがややしばらく続いた後、和尚は朱骨の中啓を挙げて、女の言葉を遮りながら、まずこの子を捨てた訳を話して聞かすように促しました。