Japanische Klassiker mit Furigana
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せっぷんをぬすむおんなのはなし
接吻を盗む女の話
佐左木 俊郎
Lesen Sie 接吻を盗む女の話 (せっぷんをぬすむおんなのはなし) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.474 Zeichen · 10 Bildschirme
母親の子守唄を思い出すと、やはり帰らずにはいられない気持ちに圧しつけられるのだった。今日は勝手に遅くまで遊んで帰れ! という気持ちだったのだが、三枝子は遂に早く帰ってしまった。そしていつものところまで来ると、自然と母親の子守唄に耳を立てるのだった。
「接吻をして頂戴よ。ねえ! 接吻をして頂戴よう。」
三枝子は、静枝のその声を耳にして、立ち止まった。胸が、がんがんして来た。
「ねえ! 接吻をして頂戴よう。厭なの? 厭ならいいわ。」
三枝子はその声の方へ歩み寄って行った。
なんというずうずうしさだろう! あれほど言ってやったのに、今夜もこんなところまで送って来ているのだ。
併し、その辺の暗がりの中には、誰の影も無かった。三枝子は立ち止まった。
「君の、接吻をして頂戴よ! は大体いいがね。厭なの? を、もう少しなんとか出来ないかね?」
見ると、そこの街裏にガランとしたバラックの建物があって、その窓の中に静枝のように絢爛な着物を着た若い女や、髪を長くした青年がたくさん坐っていた。そしてその広い板の間の中央に出ているのが静枝だった。その傍に青年が二人立っていた。