Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ちょうちん

提灯

田中 貢太郎

Lesen Sie 提灯 (ちょうちん) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.392 Zeichen · 7 Bildschirme

Aozora Bunko

宿屋は石垣と云う旅館で其処と心易い者があったから、何時往っても好い室はないにしても一晩くらい都合をつけてくれるだろうと云うようなことで、停車場前でまたビールを一二本飲んでそれから歩いたのです。真暗に曇った晩で海岸の方からすこし風が吹いていたが生温い気もちの悪い風でした。それにビールをたくさん飲んでいるからすこし歩くと汗がだくだく出て困ったのです。あんな沙埃のたつ道でしょう。それでやっと彼の川の土手へ出た時には皆が疲れて、

「もう、此処で寝ようじゃないか」

と、云って土手の上に寝転ぶ者もあったくらいです。石の冷たい河原で寝ることは好いとしてちょっと休んでいてさえ、数多の蚊がぶんぶんやって来る程だからとても寝ることはだめです。で、

「だめ、だめ、こんな処に一時間もいようものなら、それこそ、蚊にくい殺されるのだ、出発、出発」

と、云う調子で出発したのです。小さな仮橋がありますね。あれを渡って往くと山のむこうは松原で右の方は稲を植えた田圃でしょう。波の音に交って蛙や虫の声が聞えて急にしんとして来て汗の出るのも止ったのです。それに今まで盛んに喋り散らしていた者が喋ることを止めたものですから、急にひっそりとなって淋しくなったのですよ。