Japanische Klassiker mit Furigana
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ばんしゅうへいや
播州平野
宮本 百合子
Lesen Sie 播州平野 (ばんしゅうへいや) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.683 Zeichen · 214 Bildschirme
二三日の間に憔悴のあらわれた顔を新道へ向け、その長い道の上にちょこんと滑稽に干されている仏壇を眺めていたが、
「ほん、ふのわるいことばかりつづくのう」
しんから気落ちした調子で、涙を浮べた。
「直次は、ああいうことになる。水はつきよる――ほん。このうちは、ふのええことはないようなうちになった」
水の出た夜からきょうまで、登代もつや子も、直次がいたらば、ということはついぞ口に出さなかった。そういう歎きの間もないほど、臭い家、濡れた家財が女たちを追い立てた。疲れ切って今、西日の座敷で悲しくなっている母を、ひろ子は心から痛わしく思った。
「ほん、どうしていいやら、わたしには分らんようになった……」
「どうして? おかあさん」
ひろ子は、おどろいて母の顔をのぞいた。
「これまでお母さんに分らないということは、一つだってなかったことよ。こんどだって、立派に、壁までもうつけはじめたじゃないの」
「つや子は、わたしのすることが気に入らんと、きつうおこりよって。おばあちゃんのように、人ばかり頼んでも、たべさせる御飯だけでもせんないいうてじゃが、男たのまいで、どう、なろうかいの。