Japanische Klassiker mit Furigana
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ばんしゅうへいや
播州平野
宮本 百合子
Lesen Sie 播州平野 (ばんしゅうへいや) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.683 Zeichen · 214 Bildschirme
夜が白みかけていた。雨降りで、濡れた灰色の外光の中に、つい近くを松林や草堤がぼんやり眠たげにすぎてゆく。
雨は長降りになりそうな降り工合である。
いくらか上り勾配にかかった様子で列車の速力が落ちた。そのうちスーと停ってしまった。
「妙なところで止るじゃないか」
白絹が不安そうに顔を動かして云った。
「広島まで、もう何分ぐらいですかな」
「まだよっぽどだアな。三本松にかかったばかりだから――一時間の余あらあ」
「早く出て来すぎたかな、こりゃあ」
がくん、と汽車は動き出した。徐行して、そろそろ普通の速力を出すかと思う時分、つよい排気の音をたてて又ズルズルそのまま止ってしまった。
「どうしたんだ、故障か。いい加減にしろよ」
白縮のシャツの上から腹巻をした、三十がらみの男が戦闘帽を後へずらしてかぶった頭をつき出して、線路の前方を眺めた。
「三本松じゃ、汽罐車がうしろへもう一台つくんだ。いつもそうだよ」
列車は、松の生えた低い堤の前にとまっていた。土堤の下草が繁っている。しめっぽい小雨の中へ、二三人男がとび下りて行って小便をした。
列車は、いつになっても動き出す様子がない。