Japanische Klassiker mit Furigana
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はせくらじけん
支倉事件
甲賀 三郎
Lesen Sie 支倉事件 (はせくらじけん) von 甲賀 三郎 (こうがさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 204.697 Zeichen · 406 Bildschirme
この時は支倉は第二回の訊問の時程白々しい態度は執っていなかった。之を以て考えると、第二回の時は彼は自白後の内的反動で興奮していたのかも知れない。訊問は聖書の窃盗より徐※(二の字点、1-2-22)に放火事件に及んで最後に殺人事件になっている。尤も興味のある殺人の所を例によって少し抜書して見よう。
問 被告は神戸牧師に貞を無理に犯したと自白したか。
答 犯したと云ったけれども無理とは云いません。
問 九月二十六日貞に会った事は相違ないか。
答 其日は丸切り会いません。
清正公坂で待受けた事はありません。清正公坂より赤坂に電車で行ったと警察で述べたが、其頃同所に電車はない筈です。ない電車には乗れません。
古我判事は支倉のこの返答に思わずはっと顔色を変えた。
古我判事はその頃清正公前に電車はなかった筈だと云う支倉の言葉にはっと驚いた。
読者諸君よ。
支倉が今古我判事に訊問されているのは、大正六年五月の事である。(不思議にも今から丁度十年前に当る)所が問題になっている殺人事件は大正二年九月に起った事だ。即ち殆ど四年を経過している。誰だって満四年に垂んとする昔に果して清正公前に電車が開通していたかどうかと云う事は、電車線が恰度その時分に新しく敷かれたのだから確に記憶していよう筈がない。