Japanische Klassiker mit Furigana
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はせくらじけん
支倉事件
甲賀 三郎
Lesen Sie 支倉事件 (はせくらじけん) von 甲賀 三郎 (こうがさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 204.697 Zeichen · 406 Bildschirme
神楽坂署石子刑事の云分。
お前は小林さだ子を殺害して居るではないか。知りません、殺害して居りません。うそつけ、之れなる骸骨は小林さだ子だよ、お前の妻は立証しているのだ。あの時の下駄を見たろう。見ました、なれども誰れのかわかりません。わからんことはない、小林さだ子の下駄だとお前の妻は云うているのだ。
そしてお前が殺害したものであると云う事までも云うて居るのだ。白状しろ。どう妻が云うて居りましても私は一向存じません。存ぜん事はない、分らんでは通らん、通させぬのである。この野郎並大抵では中々容易に白状せん、拷問に懸けてやれ」
支倉の上願書は縷々として続くのである。
「それからと云うものは毎日々々刑事室に引出され、各刑事交代に徹夜にて長の責折檻、鉄拳制裁を受けたのであります」
支倉の上願書はこう云う風に訴えている。
「右からも左からも前からも拳骨雨の降る如く、あの二月の寒空に単衣一枚として硝子戸を明けはなして、それだけならまだしものこと、誰ともわけの判らぬ頭蓋骨を持出して、之はさだ子だ、接吻しろ。頭をなめろ。一度や二度なら兎も角数知れず接吻させられたのであります。