Japanische Klassiker mit Furigana
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ほうろう
放浪
織田 作之助
Lesen Sie 放浪 (ほうろう) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 23.399 Zeichen · 47 Bildschirme
ある日、美津子が行水をした。白い身体がすうっと立ち上った。あっちイ行きイ。順平は身の置き場もないような恥しい気持になった。夜想い出すと、急にぽかぽかぺんぺんうらうらうら。念仏のように唱えた。美津子にはっきり嫌われたと蒼い顔で唱えた。近所のカフェから流行歌が聞えて来た。何がなし郷愁をそそられ、その文吉のことなども想い出し、泣いたろ、そう思うとするすると涙がこぼれてきて存分に泣けた。二度と見ない決心だったが、翌くる日、美津子が行水をしているとやはりそわそわした。そんな順平を仕込んだのは板場の木下であった。
板場の木下は、東京で牛乳配達、新聞配達、料理屋の帳場などしながら苦学していたが、大震災に逢い、大阪へ逃げて来たと云った。汚い身装りで雇われて来た日、一緒に風呂へ行ったが、木下が小さい巾着を覗いて一枚一枚小銭を探し出すのを見て同情し、震災の時火の手を逃れて隅田川に飛び込んで泳いだ、袴をはいた女学生も並んで泳いでいたが、身につけているものが邪魔になって到頭溺死しちゃったという木下の話を聞くと、順平は訳もなく惹き付けられ、好きになった。大阪も随分揺れたことだろうなと、長い髪の毛にシャボンをつけながら木下が問うと、えらい揺れたぜと順平はいい、細ごま説明したが、その日揺れ出した途端、未だ学校から退けて来ない美津子