Japanische Klassiker mit Furigana
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ほうろう
放浪
織田 作之助
Lesen Sie 放浪 (ほうろう) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 23.399 Zeichen · 47 Bildschirme
遠廻しに、君はこんなことをしなくても良い立派な腕をもっているじゃないかと木下はいい、どこか良い働き口を探して出て行ってくれという木下の肚の中は順平にも読みとれた。木下は順平が来てからの米の減り方に身を切られるような気持がしていたのだ。が、たとえどんな辛いことも辛抱するが、あの魚の腸の匂がしみこんだ料理場の空気というものは、何としてもいやだった。丸亀の料理場を想出すからであろうか。そんな心の底に、美津子のことがあった。
しかし、結局は居辛くて、浅草の寿司屋へ住込みで雇われた。やらせて見ると一人前の腕をもっているが、二十三とは本当に出来ないほど頼りない男だと見られて、それだけに使い易いからと追い廻しという資格であった。あがりだよ。へえ。さびを擦りな。へえ。皿を洗いな。宜ろしおま。目の廻るほど追い廻された。わさびを擦っていると、涙が出て来て、いつの間にかそれが本当の涙になりシクシク泣いた。出世する気で東京へ来たというものの、末の見込みが立とう筈もなかった。
ある夜、下腹部に急激な痛みが来て、我慢しきれなく、休ませて貰い、天井の低い二階の雇人部屋で寝ころんでいる内に、体が飛び上るほどの痛さになり、痛アい! 痛アい! と呶鳴った。