Japanische Klassiker mit Furigana
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ほうろうさっかのぼうけん
放浪作家の冒険
西尾 正
Lesen Sie 放浪作家の冒険 (ほうろうさっかのぼうけん) von 西尾 正 (にしおただし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.694 Zeichen · 33 Bildschirme
あるけあるけと必死にあるいてゆくうちに、道がつきあたってふたまたにわかれ、右手に Postes & T※(アキュートアクセント付きE小文字)legraphes と看板のかかった郵便局、左の角が三階建てのくろい事務所、つきあたりが工事中の軽便食堂らしいかまえのところへでた。この食堂の右の道をはいればもうわけなしだと、すたすた闇のなかへもぐりこんでゆくとね、うしろから、とつぜん、陰にこもった底力のあるよび声がおれの耳にひっかかった。
「おい……おい、ちょいとまちな」
憶病なはなしだが、ぞオっと水をあびせられたようにうしろをふりかえると、外套も帽子もないずんぐり男が斜めにさしこむわずかな月光のなかに、両手をだらんとたらしたままじいっとこっちをねめつけてつったっている。すかしみて、野郎きやがったな、と思った。その男こそ体にあわぬパジャマをき、まっかになって女の首をしめつけていた例の兇漢ではないか。右手のにぶいうごきにつれ、鋭利なジャック・ナイフがきらきらと月光を反射した。あれからのちのおれの行動を監視していて、口をふさぐためここまで尾行してきたに相違ない。