Japanische Klassiker mit Furigana
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せいだんじゅうにそう
政談十二社
泉 鏡花
Lesen Sie 政談十二社 (せいだんじゅうにそう) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 24.626 Zeichen · 48 Bildschirme
おやお婆さん、ここは上等の待合室なんだよ、とどうでしょう……こうでございます。
人の胃袋の加減や腹工合はどうであろうと、私が腑に落ちないと申しますのはここなんでございますが、その時はただもう冷汗びッしょり、穴へでも入りたい気になりまして、しおしお片隅の氷のような腰掛へ下りました。
後馳せにつかつかと小走に入りましたのが、やっぱりお供の中だったと見えまする、あのお米で。
卓子を取巻きまして御一家がずらりと、お米が姫様と向う正面にあいている自分の坐る処へ坐らないで、おや、あなたあいておりますよ、もし、こちらへお懸けなさいましな、冷えますから、と旦那様。」
婆さんはまた涙含んで、
「袂から出した手巾を、何とそのまあ結構な椅子に掴りながら、人込の塵埃もあろうと払いてくれましたろうではございませんか、私が、あの娘に知己になりましたのはその時でございました。」
待て、判事がお米を見たのもまたそれがはじめてであった。
七
婆さんは過日己が茶店にこの紳士の休んだ折、不意にお米が来合せたことばかりを知っているが――知らずやその時、同一赤羽の停車場に、沢井の一行が卓子を輪に囲んだのを、遠く離れ、帽子を目深に、外套の襟を立てて、件の紫の煙を吹きながら、目ばかり出したその清い目で、一場の光景を屹と瞻っていたことを。