Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せいだんじゅうにそう

政談十二社

泉 鏡花

Lesen Sie 政談十二社 (せいだんじゅうにそう) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 24.626 Zeichen · 48 Bildschirme

Aozora Bunko

手許が暗くなりましたので、袖が触りますばかりに、格子の処へ寄って、縫物をしておりますと、外は見通しの畠、畦道を馬も百姓も、往ったり、来たりします処、どこで見当をつけましたものか、あの爺のそのそ嗅ぎつけて参りましてね、蚊遣の煙がどことなく立ち渡ります中を、段々近くへ寄って来て、格子へつかまって例の通り、鼻の下へつッかい棒の杖をついて休みながら、ぬっとあのふやけた色づいて薄赤い、てらてらする鼻の尖を突き出して、お米の横顔の処を嗅ぎ出したのでございますと。

もうもう五宿の女郎の、油、白粉、襟垢の香まで嗅いで嗅いで嗅ぎためて、ものの匂で重量がついているのでございますもの、夢中だって気勢が知れます。

それが貴方、明前へ、突立ってるのじゃあございません、脊伸をしてからが大概人の蹲みます位なんで、高慢な、澄した今産れて来て、娑婆の風に吹かれたという顔色で、黙って、をしちゃあ、クンクン、クンクン小さな法螺の貝ほどには鳴したのでございます。

麹室の中へ縛られたような何ともいわれぬ厭な気持で、しばらくは我慢をもしましたそうな。

お米が気の弱い臆病ものの癖に、ちょっと癇持で、気に障ると直きつむりが疼み出すという風なんですから堪りませんや。