Japanische Klassiker mit Furigana
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こきょう
故郷
豊島 与志雄
Lesen Sie 故郷 (こきょう) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.738 Zeichen · 8 Bildschirme
日の光は遠退いて、僕は薄闇の中に佇んでいた。然しそうした場合、人は同じ所に長く立留ることが出来るものではない。僕はまた歩きだした。もう浮々した軽やかな足取りではなかった。
「その頃だ、僕があの女に出逢ったのは。彼女も何かしら異常な場合にあったらしい。そして二人の間には、退引ならないものが生じてきた。それは或は僕の幻影だったかも知れない。僕達は互に藁屑を掴んだのかも知れない。然し幻影でも藁屑でも構わないではないか。そうだと分った時には、即座に投げ捨てるだけのことだ。だがそれまでは、幻影でも藁屑でもない。僕は自分の信念に誠意を持つのだ……。」
右は、或る男が私に語ったことである。私は彼の不敵な誠意を信ずるから、賛意を表しておいた。「悪霊」のスタヴローギンでさえ、ダーリアを――他の男との婚談を拒絶しなかった彼女、而も彼の最後の精神的看護婦と自認した彼女を――やはり最後に呼び寄せようとしたのである。ただ、彼にとってその女が自分の娘でなく或は妹でなかったこと、または「ソーニャ」であったことは、彼の幸か不幸か私の知る所でない。
精神的な第二の故郷を求める旅に出ることが、真摯な人には往々ある。