Japanische Klassiker mit Furigana
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こきょう
故郷
Lesen Sie 故郷 (こきょう) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.843 Zeichen · 22 Bildschirme
この子の七つ八つの頃までは私も見知っていたが、その頃は色の黒い小粒の子だった。いま見ると、背もすらりとして気品もあるし、まるで違う人のようであった。
「光ちゃんですよ。」叔母も笑いながら、「なかなか、べっぴんになったでしょう。」
「べっぴんになりました。」私は真面目に答えた。「色が白くなった。」
みんな笑った。私の気持も、少しほぐれて来た。その時、ふと、隣室の母を見ると、母は口を力無くあけて肩で二つ三つ荒い息をして、そうして、痩せた片手を蠅でも追い払うように、ひょいと空に泳がせた。変だな? と思った。私は立って、母のベッドの傍へ行った。他のひとたちも心配そうな顔をして、そっと母の枕頭に集って来た。
「時々くるしくなるようです。」看護婦は小声でそう説明して、掛蒲団の下に手をいれて母のからだを懸命にさすった。私は枕もとにしゃがんで、どこが苦しいの? と尋ねた。母は、幽かにかぶりを振った。
「がんばって。園子の大きくなるところを見てくれなくちゃ駄目ですよ。」私はてれくさいのを怺えてそう言った。
突然、親戚のおばあさんが私の手をとって母の手と握り合わさせた。私は片手ばかりでなく、両方の手で母の冷い手を包んであたためてやった。