Japanische Klassiker mit Furigana
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ぶんだんむかしばなし
文壇昔ばなし
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 文壇昔ばなし (ぶんだんむかしばなし) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.802 Zeichen · 20 Bildschirme
と、鍋の中に仕切りを置くことにしているのだが、私は話に身が入ると、ついうっかりと仕切りを越えて平げてしまう。「あッ、君それは」と、鏡花が気がついた時分にはもう遅い。その時の鏡花は何ともいえない困った情ない顔をする。私は相済まなくもあるが、その顔つきがまたおかしくて溜らないので、時にはわざと意地悪をして喰べてしまうこともあった。その鳥屋でもそうであったが、芥川は鏡花が抱き胡坐をしているのに眼をつけて、「抱き胡坐をする江戸ッ児なんてあるもんじゃないな」といっていた。人も知る通り鏡花は金沢人だけれども、平素江戸ッ児がっていた人である。鏡花の大作家であることについては、芥川も私も無論異存はなかったけれども、江戸ッ児という感じには遠い人であることにも、二人とも異論はなかった。
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肌合いの相違というものは仕方のないもので、東京生れの作家の中には島崎藤村を毛嫌いする人が少くなかったように思う。私の知っているのでは、荷風、芥川、辰野隆氏など皆そうである。漱石も露骨な書き方はしていないが、相当に藤村を嫌っていたらしいことは「春」の批評をした言葉のはしはしに窺うことが出来る。