Japanische Klassiker mit Furigana
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ぶんがくいぜん
文学以前
豊島 与志雄
Lesen Sie 文学以前 (ぶんがくいぜん) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.171 Zeichen · 38 Bildschirme
昔、美濃の大垣から一里ほど東の中津という村で、古池の水をほして、非常に大きなすっぽんを捕ったことがあります。その人が之を肩に荷うて、大垣の町の魚屋へ売りに行きましたところ、途中である大池の堤を通る時、池の中から大きな声で、おい何処へ行くぞいと云うものがありました。すると背中の籠の中から、今日は大垣へ行くわいと答えました。するとまた池の中から、同じ声で、いつ帰るぞと問いました。これにも籠の中から返事をして、いつまでいるものぞ、明日はじきに帰るわいと、大きな声で云いました。男はびっくりして、こういうのが池の主というものであろうかと思いましたが、ここで弱気をだしては大変と考えて、とうとう魚屋へ行って売ってしまいました。そして翌日、また町に行って、魚屋へなにげない顔で立寄ってみますと、そこの主人の話では、あのすっぽんは恐ろしいものであった、刄物がなくては人間でも破れない生簀のなかから、どうして出て行ったか、見えなくなってしまったそうであります。これが恐らくすっぽんの親方であったろうという話であります。
この話、なんだか本当にありそうな話で、すっぽんと限らず、年経た亀一般にありそうな話である。