Japanische Klassiker mit Furigana
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いけぶくろのかい
文藝別冊[総特集]岡本綺堂
岡本 綺堂
Lesen Sie 文藝別冊[総特集]岡本綺堂 (いけぶくろのかい) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 72.671 Zeichen · 149 Bildschirme
あとあとまでも面倒をみてあげる気でいるから、かならず弱い気を出さないで、一日も早く癒っておくれよ。旦那もしきりに心配していらっしゃるからね。
お冬 奉公人のわたくしにあんまり勿体ないことでございます。そうでなくても御苦労の多いところへ、わたくしがまた御苦労をかけましては相済まないことだと存じて居りますけれど……。(又泣く。)いくら諦めようと思いましても、それがどうにもなりません。こうして臥せって居りましても、若旦那のお顔やお姿が絶えず眼の先にちら付きまして……。
おさき それはわたし達も同じことで……。(眼をぬぐう。)あきらめると云う口の下から、未練も出る。愚痴も出る。ほんとうに情けないことだねえ。
お冬 おかみさん。わたくしはやっぱり死んだ方が優しでございます。(声を立てて泣きくずれる。)
おさき (眼をふいて。)ああ、もう止しましょう。お前をなだめる積りでいながら、わたしが一緒に泣いてしまっては何んにもならない。後生だから、せめてお前だけはからだを丈夫にしておくれよ。忘れても死ぬなどという気を出してはなりませんよ。いいかえ。
お冬 はい。(泣いている。