Japanische Klassiker mit Furigana
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いけぶくろのかい
文藝別冊[総特集]岡本綺堂
岡本 綺堂
Lesen Sie 文藝別冊[総特集]岡本綺堂 (いけぶくろのかい) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 72.671 Zeichen · 149 Bildschirme
詰めている人達も退屈凌ぎに碁などを打っていた。長い日もようやく暮れて、庭の古池のあたりから遅い蛍が二つ三つ飛び出した頃に、天井から小さい石が一つ落ちた。人々は十二畳の書院にあつまっていたのであるが、この音を聞いて今更のように天井をみあげた。父はその石を拾ってみたがそれは何の不思議もない小砂利に過ぎなかった。石はそれぎりで、しばらく落ちて来なかったが、夜の四つ(十時)過ぎからは幾たびも落ちた。
石は天井のどこから落ちて来るのか、ちっとも見当が付かなかった。一人でも天井を睨んでいるあいだは、石は決して落ちないのである。退屈して自然に首をさげると、その隙を窺っていたように石がこつりと落ちてくる。決してばらばらと降るのではない、唯一つ静かに落ちてくるのである。毎晩のことであるから、どの人ももう根負けがしたらしく、特に進んでそれを詮索しようとする者もなかったが、そのなかで猪上なにがしという若侍が忌々しそうに舌打ちした。
「こうして毎晩おなじようなことをしているのは甚だ難儀だ。おそらく狐か狸の仕業であろうから、今夜は嚇しに鉄砲を撃ってやろうではないか。」
そのことばが終るか終らないうちに、かれはあっといって俯伏した。