Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
Lesen Sie 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.454 Zeichen · 357 Bildschirme
しらべると一滴ずつしか出なかった。――もう乳を貰いにやる時間だったから、出ない乳首をさしつけておくわけに行かないので、念のためにと最一度やって見たがやはり駄目だった。私はいら立った。乳母は、又真赤になり鼻がしらに汗をかいた。
妻は乳母と私とをみながら「どうして出ないんでしょう。」と云い、そうして「すぐ平林さんに動坂へ貰いに行ってもらいましょう。」と手巾に瓶をつつんでいる。夏は夕方で急しいからと、平林に行ってもらうことにした。平林は、すぐ出て行った。
「困ったな。乳首になじまないからいけないんだ。」
私は妻に、わざと乳の出ないことを言わないで、そう言った。乳母は、あぶら汗をかいていた。
「あなたの子どもはどうしたんですの。」
ふと妻がそう尋ねると、乳母は、汗とあぶらで光る顔を擡げた。
「死んでしまったのです。生れるとすぐに。」
「まあ。」
妻は、目を円くしたが、私はべつに何んとも思わなかった。子供というものは死にやすい。もろい花のように思っていたからである。
「そして千葉にいたの。」
「いいえ。」
「どこに。」
乳母は、言いにくそうに黙ってしまった。わたしは尋ねるなと目で知らせた。