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Japanische Klassiker mit Furigana

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どうじ

文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子

室生 犀星

Lesen Sie 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.454 Zeichen · 357 Bildschirme

Aozora Bunko

池のなかばにも日があたっていた。かれらの悲しげな泳ぎは温かい方へ、そこの明るみに舞うところの微塵はみな水の上におちて行った。風船玉の破れや、活動のプログラムを丸めたのや、果物の皮、または半分に引きさかれた活動女優の絵はがき、そういうものが岸の方へみな波打ちに寄せられ、あるかないかのさざなみに浮んでいた。哀しげなアニタ・スチュワードの白白しい微笑んだ絵はがきが、かれの方から濡れたまま、日の光のまにまに浮いて見えたのであった。かれはそれを見るともなく眺めているうち、ふしぎにその印刷紙の蒼白い皮膚が濡れているために、ふいに、れいの女のことを思い出した。

「ちょうど、ああいう風な蒼白さで、そして何時もすらりと歩いているのだ。よく似ている。さびしげな頬のあたりが、ほとんど彼女にそっくりだと言ってもいい。」

かれがそういう思いに充たされているときに、不意に、赤い鯉が池のそこから浮びあがってきて、何かを吸いこんで、はっきりともんどり打って再び水中にかくれた。そのとき、かれは緋鯉の丸っこい胴体が捩じられて、彎曲されて滑らかに露われたのをみた。それはかれには、婉然として円みのある胴体ばかりでない、美しいある咄嗟の幻想にいざない込んだのであった。