Japanische Klassiker mit Furigana
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どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
Lesen Sie 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.454 Zeichen · 357 Bildschirme
ちょうど二つの白い瓜をならべたような姿勢が、内部のあるかないかの、恰も通りからカーテンを透してくる明りがぼんやりしているのに浮きあがっていたからである。女の顔はくっきりと白く鮮やかな輪廓をもっていた。かれはこうした予期はしなかったが、このふしぎな自動車のなかに女の肉顔を見いだしただけでも、かれの靡爛しつくしたような心をどれだけ強くゆすぶったか不明らなかった。あり得べきところにあるものとはいえ、しんと静かな内部に鰈のように白く泳ぎ澄んでいるような彼女の顔は、変態なかれの情痴をぶちこわして了ったのである。
女はその服装の華美な点から言っても、毛皮の襟巻をしているところから見ても、やはり女優のような妖艶さと押し出しをもっていた。第一、かの女の目はくらやみのなかでも、曇り硝子のようなくすんだ光をもって見えたのである。男は服をきていた。黒のソフトを深くかむっていた。かれらは黙っていた。話し声も何もしなかった。ただ、そうしているのは、葉巻でも買いにやったらしく思われる運転手の帰ってくるのを待っているものとしか思われなかったのである。けれども運転手は十分二十分経っても帰って来ないばかりか、それらしい姿さえ見せなかったのである。