Japanische Klassiker mit Furigana
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どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
Lesen Sie 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.454 Zeichen · 357 Bildschirme
よく見ると、とある木立のかげに瓦斯を点しながら、三四十人の群衆にとりかこまれて、れいの卑俗なセンチメンタリズムが今さかんに弾き唄われているのであった。かれはその時すぐ街頭音楽者のむれを思い出した。それと同時に、
「誰に顔を見られたって最う何とも思いませんよ。恥も此処まで落ちてくれば落ちつくものです。」れいの爺むさい顔をして言ったことを思い出した。かれはベンチを離れると群衆の方へむかって歩き出した。
歳太郎は自分で弾きながら、れいの沈んだ声で、ときどき故意と悲しげに長くひいたり、群衆の顔をいちいち眺めたりしながら唄っていた。少年は、ぽつねんと跼んで、右の手に刷り物をもって手持無沙汰に歳太郎の顔と群衆の顔をかわるがわる見くらべていた。
かれは群衆の人垣の間にはさまれながら、しばらく聞いているうちに、均しく群衆が悲しげにすすり泣くヴァイオリンを、あたかもうっとりと聞きとれているもののように思えた。歳太郎はもちろんかれには気づかなかった。弾き終えると、少年はもじもじした声で、人垣をぐるぐる廻って、
「ご入用の方はありませんか。一冊十銭ずつです。唄は節づきでこのなかへ皆おさめられてあるのです。