Japanische Klassiker mit Furigana
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どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
Lesen Sie 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.454 Zeichen · 357 Bildschirme
かれは女の蒼白い顔を見ることをおそれるもののように努めて視線を避け、つとめて話をし合わないようにしていた。女はそういうとき室にいて時時男の仕事にきき耳を立てることもあったが、すぐ寂しそうにれいの暗い糸から糸を引いては縫いものをつづけるだけであった。
男は夕がたになると外へでかけた。男にはあきらかに女ができていることも、そとで初めて明るく微笑えることをも、女はいつのまにか感じていたけれど、女はしつこく黙って、いつも、
「いっていらっしゃいまし。」
そう言って茶いろの帽子をわたすだけで特に妬くような素振りも言葉づかいもしなかったのである。そのため男は夕方になると妙にもじもじと時計や庭や空をながめたりして落ちつかなかったが、しまいには思いきって立ちあがるので、そのときの苦しそうな淋しい顔立ちのなかにしんと静まりかえった表情が、いつも女にはすぐ読みとれた。かの女は柔順に男を出してやり、男はおそくなるとひどく酔ってかえってくるのである。が、ふしぎなことには、男の目にうつる女のやつれようの烈しさは見るからにいたいたしく、細れきって精根もないそうめんのように小寂しくなって見えるのであった。