Japanische Klassiker mit Furigana
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どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
Lesen Sie 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.454 Zeichen · 357 Bildschirme
もしものことがあるとやはり可哀想だ。今夜あたりは危ないのだ。家にいてやればよかったと、男は考え出したときは、もう酔が足もとをふらふらさせた。いつでも不平がましいことを言ったことがない。済まないと思いながら、こっそりと家を逃げ出してきたのだ。
「どうしたの。苦しいの。」
「莫迦をいえ。酒をもっと持ってきてくれ。あつくして。」
女が梯子段を下りて行ったあとで、しばらく男はひとりでいた。ひとりでいると障子が余りに白く鮮やかで、なにかが映ってくるようなあやしい予期をさせた。壁にしろ、無意味に広い座敷にしろ、どうもいけない。男は敷島の袋を手にとったときも、がさがさした落葉のような音がしたので、ふしぎそうに眺め出した。
「と、何かこう変化った事が起きて居はしないか。それとも毎時のように壁の方を向いて寝ているだろうか、どうしてあれは壁の方ばかり向いて睡るくせがついているのだろう。いつころだろう、あんな変な風な女になったのは……。」
そのとき階下へおりた女が、長い廊下をしずかに歩いてくる足音がした。そして室へはいると、
「まあ恐い――。」と言って顔いろを変えた。慴えたように眉をそよがせているのだ。