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Japanische Klassiker mit Furigana

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どうじ

文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子

室生 犀星

Lesen Sie 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.454 Zeichen · 357 Bildschirme

Aozora Bunko

主婦はそんな時には決って納戸の方から声をかけて見るのだった。

「まだ御勉強ですか?」

「そろそろ止そうかと思っているんです。何時ごろでしょうか。」

松岡は決っと時計を持っているくせにそう言って、ことりことりと長い階段を上って行くのだった。新聞社の収入と肖像画の収入を合せると、相応な金になるらしかったが、別に遊びに出かけることもないので、相当な貯蓄があるらしいと言われていた。訪ねて来る人もなければ何日夕方から食事に出かけたこともなかった。

唯、非常な潔癖で、身なりを作ることが道楽らしかった。いつでも黒の山高をきちんと冠って、洋杖を小脇にはさんで橋の上を歩いて行くのだったが、妙に蒼白い皮膚と、痩せた肩つきとが際立って見え、朝日に影を惹いた姿は妙にさびしかった。

唯の一度、夕方おそく駅の人力車に乗った女客が、造花屋の店さきに下りたが、主婦は女客の顔色が汽車に揺られた疲れと度端れの昂奮との為めにがちがち顫える指さきを見た。

「何時もならもうおかえりのころでございますが、お上りになってお待ちなすったら直ぐでございます。」

主婦はそう言っておどおどしている女客の浅ぐろい顔を見たが、妙に浅ぐろいために何か可憐な可愛げのある顔つきであった。