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Japanische Klassiker mit Furigana

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どうじ

文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子

室生 犀星

Lesen Sie 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.454 Zeichen · 357 Bildschirme

Aozora Bunko

主婦はあたりを片づけて女客を坐らせた。

「ではお休みなさいまし。」

主婦が去ってしまうと、女客はぽかんと坐りながら気ぬけのしたような格好で、見るともなく肖像画に見入っていたが、何時の間にかしくしく泣き出していた。そして永い間、坐ったままでいた。

向いの寺の鉾杉に風が鳴り出して、まだ明りの漂うている部屋の中に何の物音もなかった。女は手鏡で顔のつくりをなおしかかると、二階あたりの階段をみしりみしりと上ってくるものがいた。いつもの松岡正は最っと静かな歩調だったが、きょうはその足音には故意とらしい感情があらわれ、二足三足と何か考えているようであった。

女はその足音に何気なく注意したが、ほんの一秒間位の間に、すっかり蒼くなるほど皮膚が褪めた色になった。そして三階の階段にかかった足音を耳に入れると、女の手さきは小さい包みを有ったまま、すこしずつ痙えはじめた。その表情は息を窒めたような緊張で、皮膚そのものが紙のようにぱりぱりしているように見えた。

足音が三階の階段を上りつめると、女は殆ど倒れるような一種の眩惑しそうな眼付で、沈んだ昂奮のために前のめりになり、やっと畳の上に手を置いて手を支えるのだった。