Japanische Klassiker mit Furigana
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どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
Lesen Sie 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.454 Zeichen · 357 Bildschirme
晩になると一軒の家にきっとこんな姿が決って座っている。どんなところにも黙りこくって、考え込んで、考え込むために黝ずんだ姿で、季節はずれの菌のように湿っている――それは客間でも座敷でも茶の間でも、あかるい電燈の下にはいつでもきちんと座って、十年が二十年でも、そうしてこの世の終りまでも見とどける心がけで、この世の終りはきっと自分だけが居残るだろうという自信をもって、実際は見とどけ過るような長生きの前例で、さもしくしかしこっそりと一人で微笑んで座っている、――このおしの強いどうにもならない宿命じみた陰影をどうしたって追い払うことはできない、――明るければ明るいほどこの姿は濃い――消えてゆくような影や形ではない。
こんな人生のくらしを眼をほそめて眺めて見わたすと、家というあんな陰気な箱みたいな二重にも三重にもあるいは十重二十重になった中から、ただ映ってくるものは一つの電燈の下っている真下に、いつまでも消えそうもない宿命の姿だけが家々の内部からえぐり出したように見えてくる――劇場のさじきに一人ずつおさまり返っている看客のように、人生のひもじい堪らない晩には、あんなにくどくどした宿命がにじんで、たいくつなこの世の終りを、自分のまわりに生命をもったものの終りをちゃんと見とどけるために座っているではないか――。