Japanische Klassiker mit Furigana
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どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
Lesen Sie 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.454 Zeichen · 357 Bildschirme
「お前この前のときより瘠せたようだわね。肩なんかこんなにこつこつしているんだもの。」
「そうか知ら?」
「手だってほら細くなっている、――ふるえているのね。寒いの。」
「いや、寒くはないんだ。すこし暑いくらい、――」
「それならいいけれど……。」
弟はしばらく対岸の茫々たる崖の上をながめていたが、ふと、自分でも思いがけないような声音で言った。
「きょうお母さまに会ったよ、ご門のところでね、八百屋が来ていて何かを買っていらしった、僕、気のせいか知らんけれどお母さんも瘠せたように思う、お姉さま、そう思わない……。」
「そうね、すこしお瘠せになったのね、けれどもお父さまほどじゃない、お父さまときたらすっかり瘠せてしまったのよ、お気の毒よ。」
姉は弟に遠慮するような声で言った。「お母さまに何か言ったの。」
「いいえ、いつもの通り黙って来てしまったのです。車のかげからぬけて来たの。でもこの段々のところに行っていたときに、こちらをちらりと見なすった、しかし分りはしないんだよ。」
弟はそういうと沈鬱な顔貌で微笑って見せた。姉はその顔を何時ものように不思議そうにながめ、なぜか身内に冷たい汗のようなものを感じた。