Japanische Klassiker mit Furigana
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どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
Lesen Sie 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.454 Zeichen · 357 Bildschirme
」
「ほんとう?」
「ほんとに忘れた。いつでもぽっかりと土手の上に出るの、そのさきは歩いていたのか、歩いていないのか僕にはわからないの。歩いていたようにも思えるし、また、歩かなかったようにも考えられるの。いきなり何時でもひょっこり土手の上に出てくるだけなの。」
お俊は或いはそうかも知れないと思った。この子は頭にあるだけの記憶を話しているのらしい。この子はうそを吐くことは無い、そう思った。しかし何故に忘れる事があるのだろう、みんな覚えていそうなのに、――お俊は物珍らしそうな顔つきでまた尋ね出した。
「お前はへいぜいどんなところにいるのか言ってごらん、お前のいるところの、いろいろなお前に覚えのあるお話しですよ。」
むすこはふしぎな顔をした。
「僕のいるところって今ここにいるんじゃないの。僕へいぜいどこにもいはしないんですよ、今ここにいるだけなの。」
お俊はちょっと冷たい汗を掻いたが、「じゃあ、いまの前はどこにいたの。お母さまにあう前のことですよ、よく考えて言ってごらん。」
「それは忘れた。覚えがないの。」
「へんね、――」
しかしこれは本統かも知れないとも思われた。