Japanische Klassiker mit Furigana
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どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
Lesen Sie 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.454 Zeichen · 357 Bildschirme
」
「あの鳥が一羽でも飛んでいたら、晴れるにきまっているんだよ。――それに晴れると白魚がたくさん群れて岸へあつまってくるのも不思議だ。」
眠元朗は纜をといてから、舟を渚から少しずつ辷り出させた。引き波の隙間をねらって、舟はふうわりと白い鴨のように水の上を辷った。眠元朗は水馴棹を把った。たらたらする油ながしの雫は棹の裏を縫うて、静かな湖面に波紋をつくった。
「お母さまが入らっしゃらないのに、舟を出しちゃわるうございますわ。」
「出しはしないんだよ。」
「でも気になるんですもの。いつかのようにどんどん舟を出しておしまいなさるかも分らないんですもの。――わたしお父さまのなさることを後ではらはら思うことが沢山ありますの。何日のように出さないって言っていらしたくせに、とうとう島までおやりなすった――。」
眠元朗はひとりで微笑いながら、棹を一とさしずつ辷らせた。
「そうあの日は島まで漕いでしまったが、――あとでお母さんが来られないことが分ったじゃないか。」
「ご遠慮なすったのよ、このごろはお母さまは舟に乗ることをお喜びにならないようですわ。わたしなんだかそんな気がしますの。