Japanische Klassiker mit Furigana
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どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
Lesen Sie 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.454 Zeichen · 357 Bildschirme
」
「どうしてでしょう。――それに、わたしはそう綺麗な心をもっていはしないんでございますけれど……。」
娘はふと母親の顔を見たが、すっかり顔色が硬ばって蒼褪めているのを、この上ない恐ろしいものに眺めた。
「お前は再度とあの桃花村のことを言い出さないで頂戴。ね、そしてそれを母さまに誓ってくれるでしょうね。」
「ええ。」
「母さんの大切なお前だから――そちらを向いてはなりません。それにもう泣かないでもいいのだろう。」
娘は母親の手を肩さきに感じながら、自分の言い出したことが母親を苦しめたことを悔んで、そして泣きしずんでいた。――
その日から娘は母親とその村のことを話し出したりすることを止めた。にも拘わらず父親は桃花村のことを口にすると、いつも機嫌がよかった。いまも眠元朗は静かではあるが熱のある目付で、うすあかい、渚に打ちあげられた、美しい貝殻の列のような村落を眺めていたからである。
「お父さま、なぜお母さまはあの村のことを話すると、あんなに寂しい顔をなさるのでしょうかね。」
娘は父の膝の上に手を置いて、うっとりと村の方に見とれながら言った。――が、父親の返辞がないので、何心なくふりかえって見ると、眠元朗は悒悒した眼で何か考え深んでいるらしかった。