Japanische Klassiker mit Furigana
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どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
Lesen Sie 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.454 Zeichen · 357 Bildschirme
「お父さんの顔がへいぜいとは違って見えるかね、それをよく見て話してくれ。」
「いえ、お父さま、」
娘はあたまを振ってみせた。――母親も娘にちかづいて、同じことを娘に問いただしたが、娘はやはり変ったところがないと言ってほそぼそとおかしそうに微笑った。
「まあ、おかしなお母さま、――おふたりともどうかなすったのね。」
娘は自分のすぐ顔のちかくに、父と母との顔をこんなにまで近く、しかも訝しく眺めたことがなかった。かれらが互いに何かの変化がその表情にないかという問いを、娘が再び頭のなかで働かしたときに、思いがけない母親の眼を見た。それは父親に対って何かを咎めているようなけわしい色をしていた。――そして父親は父親でまだ見たこともない悲しげな眼色をしていたからである。娘はそういう父と母との間に、自分の心がひとりで脅やかされ縮むような気がした。そして何時もならそのどちらかの胸に飛びつくのであるが、きょうはどちらへも抱きつく気にはなれなかった。そういうことをしてはならない気も交っていたのである。――娘は生れてはじめて二人のそばを離れたところで、そしてうしろ向きになって泣き出した。