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Japanische Klassiker mit Furigana

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どうじ

文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子

室生 犀星

Lesen Sie 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.454 Zeichen · 357 Bildschirme

Aozora Bunko

――そのとき眠元朗は窓の外に立って、そこに出した娘の手を把った。娘は父親に甘えたこえを出した。

「お父さま、晩になったから又話してくださいね。」

眠元朗は考えながら、「お父さんの話することをすっかりお前が聞いてしまったら、お前は最う此処にいることが厭になってしまうだろう――。」

そう言って母親の顔をみた。母親も父の眼を見入った。

「どうしてでしょう?」

「お前の好きなことが此処にはなくて、お父さまの話の中にあるのだから?」

娘は父親の両手をとって、そして拝むような眼をして言った。

「その話をして頂戴。わたしその話が聞きたくてならないんでございます。――母さまからもおねがいしてくださいな、ほらこんなに聞きたいんですもの。」

母親は執られた手が娘のからだの何処にあるかを知ったときに、彼女自身も一度にどきどきした心臓を感じた。――まだ母親が若かったころにそっと或る夕方に握ってみた小鳥の、その微妙などきどきしたものを娘の柔らかい乳房のかげにあるものから感じた。

「お父さま、娘を見てやってくださいまし。」

父親もその手を娘の胸の上に置いた。何という匂い深く謹んだ花のような息づかいであったろう――眠元朗は掌につたわる息づかいを一弁ずつほぐれる花にも増して、やさしく心悲しく感じた。