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Japanische Klassiker mit Furigana

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どうじ

文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子

室生 犀星

Lesen Sie 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.454 Zeichen · 357 Bildschirme

Aozora Bunko

「しかし見たことのある女だな、どこかで見たことがある。」

多門はそう考えているうちに、頭が冴えて来て、行燈のかげに凝然と坐ったきり動かなかった。あれが若しほんとうの人間だったらあんなにうまくは逃げないだろうと考え、あやしいものなら、どうしても狩りつくさなければならぬと思った。かれは庭の暗みを眺めわたしたが、くらさと、夜更けの冷気とが凝っているだけで、木の葉にさわる風の音すらなかった。多門の心にはこれまでになく寂漠としたあるものが感じられ、その感じは刻々と増さってゆくように思った。多門は胴ぶるいをした。その胴ぶるいは武士としては恥じる胴震いではあったが、それにも拘わらず多門は何度もそれを繰り返したのでした。多門は立ちあがると、屋敷じゅうの部屋という部屋をいちいち見て廻りましたが、どこにも女らしい姿はなかったのです。

多門は不図台所の方へ行くと、そこに、お萩という下女が一人、板の間の上に横に臥ていて気絶しておりました。見ると顔のいろが蒼ざめたきり、呼吸もたえだえになっていました。

「どうしたのだ、気をお付け。」

多門はそう言ってお萩に水を飲まし、抱き起しましたが、しばらくして漸っと呼吸を吹き返し、多門の顔をじっと見つめました。