Japanische Klassiker mit Furigana
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となんせんせい
斗南先生
Lesen Sie 斗南先生 (となんせんせい) von Nakajima Atsushi (中島 敦) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.262 Zeichen · 44 Bildschirme
なに、マルクスが正しい独乙語さえ書いていれば俺にだって分るさ、と、彼の顔色を見たのか、伯父はそんなことまで附け加えた。彼は伯父が早くこの話を切上げてくれるように、と念じながら、黙って火箸で灰に字を書いているより外はなかった。その中に突然伯父は、急に気が付いたような様子で「傘を買って来てくれ。」と言う。降っているんですか、と聞きながら障子をあけて外を見ようとすると、今は降ってはいないけれども、とにかく要るものだからと伯父は言った。そうして蟇口から五十銭銀貨を一枚出して、何処とかで、五十銭の蛇の目を見たから、そういうのを一本買って来てもらいたいといって、変な顔をしている三造にそれを渡すのであった。三造は女中を呼び、自分の財布から、そっと五十銭銀貨二枚を出して、それに附加え、買って来るように頼んだ。女中はすぐに表へ出て行ったが、やがて細目の紺の蛇の目を持って帰って来た。伯父はそれを、いきなり狭い四畳半で拡げて見て、なるほど、東京は近頃物が安いと言った。
間もなく伯父は、もう大山へ行くのだと言い出した。何時の汽車ですと、あやうく聞こうとした彼は、伯父が決して汽車の時間を調べない人間だったことを、ひょいと思い出した。