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Japanische Klassiker mit Furigana

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きられたさに

斬られたさに

夢野 久作

Lesen Sie 斬られたさに (きられたさに) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.352 Zeichen · 41 Bildschirme

Aozora Bunko

何やらわからぬ疑いと、たまらない好奇心が眼の前で渦巻き初めたので、無言のまま湯気の中から飛び出した。

「ヘイ……どうもお疲れ様で……お流し致しましょう」

揉み手をしながら小奇麗な若衆が這入って来た。新しい手拭浴衣を端折っている。

「……ウーム……」

平馬は考え込んだまま背中を流さしたが、どうしても考えが纏まらなかった。肩癖を打つ若衆の手許が、妙に下腹にこたえた。

女中に案内されて奥へ来てみると、小田原ほど立派ではないが木の香がプンプンしている二尺の一間床に、小田原と同じ蝦夷菊が投入にしてある。落款は判からぬが円相を描いた茶掛が新しい。その前に並べた酒袋の座布団と、吉野春慶の平膳が旅籠らしくなかった。頭の天辺に桃割を載せて、鼻の頭をチョット白くした小娘が、かしこまってお酌をした。済まし返ってハキハキと物云う小娘であった。

「……ここは茶室か……」

「ハイ。このあいだ、清見寺の和尚様が見えました時に、主人が建てました」

平馬は床の間の掛物を振り返った。

「あの蝦夷菊はこの家の庭に咲いたのか」

「いいえ。あの……お連れの奥方様が、お持ちになりました」

「……ナニ……奥方様……」