Japanische Klassiker mit Furigana
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きられたさに
斬られたさに
夢野 久作
Lesen Sie 斬られたさに (きられたさに) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.352 Zeichen · 41 Bildschirme
それから関西あたりへ出て何か大仕事をする了簡ではなかったかと、あの時に推量致しましたが……」
「いかにも――……ところが佐五郎どの程の器量人に逐われるとなると中々尋常では外されまい。事に依ったらこの方角へ逃げ込んで来まいものでもない。しかも当城下に足を入れたならば、何よりも先に平馬殿の処へ参いるのが定跡……とあの時に思うたけに、一つ平馬殿の器量を試めいて見るつもりで、わざっと身共の潔白を披露せずにおいたものじゃったが。いや……お手柄じゃったお手柄じゃった……」
「まことにお手際で御座いました」
「ハハハ……平馬殿はこう見えても武辺一点張りの男じゃからのう……」
二人は口を極めて平馬を賞め上げながら盆を重ねた。酌をしていた奥方までも、たしなみを忘れて平馬の横顔に見惚れていた。
しかし平馬は苦笑いをするばかりであった。燃え上るような眼眸で斬りかかって来た女の面影を、話の切れ目切れ目に思い浮かべているうちに酒の味もよく解らないまま一柳斎の邸を出た。
青澄んだ空を切抜いたように満月が冴えていた。
「……これが免許皆伝か……」
とつぶやきながら平馬は、黒い森に包まれた舞鶴城を仰いだ。