Japanische Klassiker mit Furigana
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だんそうがん
断層顔
海野 十三
Lesen Sie 断層顔 (だんそうがん) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.033 Zeichen · 33 Bildschirme
老探偵が、急に立停った。心得て甥が伯父の背越しに頤をつき出す。
「七つ目のアーチの蔭に――ほら、身体を前に乗り出した」
「見えます、僕にも。ああッ。……実にひどい顔!」
「ううむ」老探偵も携帯望遠鏡を目にあてたまま呻る。「ああいう畸形にお目にかかるは始めてだ。胎生学の原則をぶち壊している。傾壊しかかった家のようじゃないか」
「おそろしい顔があったものですね」
前につき出した顔や、後に流れたような顔は、それほどふしぎではない。その他のおそろしい顔であっても、まず原則として、顔のまん中の鼻柱を通る垂直線を軸として、左右対称になっているものである。おそろしい大関格のお岩さまの顔であっても、腫物のためなどで左右の目がやや対称をかいているが、全体から見ると顔の軸を中心として左右対称である。――ところが今見る顔はそうでない。第一、鼻柱が斜めに流れている。そして全体が斜めに寝ている。ふしぎな顔だ。その上に、腫物のあととも何とも知れぬ黒ずんだ切れ込みのようなものが顔のあちこちにあって、それが彼の顔を非常に顔らしくなくしている。唇も左の方に、かすがいをうちこんだようなひきつれが縦に入っている。