Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だんきょうきぶん

断橋奇聞

田中 貢太郎

Lesen Sie 断橋奇聞 (だんきょうきぶん) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.144 Zeichen · 25 Bildschirme

Aozora Bunko

「今日は佳いものがございましたから、御覧に入れようと思って、持ってあがりました」

老婆は卓の上へ包みを置いて、その中から金の梗で銀の枝をした一朶の花簪児を執って秀英の頭へ持っていった。

「きっとお似合いになりますよ」

そして黒いつやつやした髪に挿してから、

「ほんとによくお似合いになりますこと、いっそのこと、そのつむりで、御婚礼なされて、この年寄にお喜びの盃をいただかしてくださいましよ」

秀英はにっと笑って老婆の顔を見た。と、そこへ女中の春嬌が茶を持ってきた。老婆はそれをもらって飲みながら言った。

「このお茶よりか、早くお喜びのお酒をいただきたいものでございますね、私は平生お嬢さんがお眼をかけてくださいますから、その御恩報じに、佳いお婿さんをお世話いたしたいと思うておるのでございますよ」

「いやなお婆さん」

口ではそう言ったが決してそれを嫌うような顔ではなかった。老婆はそっと四辺に注意した。春嬌ももういなくなって秀英と自分の他には何人もいなかった。老婆は秀英の傍へぴったり寄って往った。

「お嬢さん、ちょっとお耳に入れたいことがございますが、お話ししてもよろしゅうございましょうか」