Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
だんぺん(いち)
断片(Ⅰ)
寺田 寅彦
Lesen Sie 断片(Ⅰ) (だんぺん(いち)) von 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 1.760 Zeichen · 4 Bildschirme
」
「養生のためにやっています。」
「肖像などは、あれはずいぶんかかるものでしょうね。」
「さあ。一時間でも二十日でも、切りはありますまいね。」
「小さいのよりも、やっぱり大きい絵の方が、何だか知らねえが、ねうちがあるような気がするね。」
「そうですかね。」
どんな人であったか、つい一度もその人の方を振向いて見なかったから分らない。
電車や汽車が度々すぐうしろを通った。汽車が通ると地盤のはげしく振動するのが坐っている私のからだには特にひどく感ぜられた。
描いているうちにふいと妙な考えが浮んで来た。それは地震の波が地殻を伝播する時に、陸地を通る時と海底を通る時とでその速度に少しの相違がある、そういう事実を説明すべき一つの理論の糸口のようなものであった。
とにかく一生懸命で絵を描いている途中でどうしてこんな考えが浮き上がって来たものか、自分でも到底分らない。
どうも自分というものが二人居て、絵を描いている自分のところへ、ひょっくりもう一人の自分が通りかかって、ちょうどさっきの老人のように話をしかけたのだという気がする。そうだとすると、まだ自分の知らない自分がどこかを歩いていていつひょっくり出くわすか分らないような気がする。