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Japanische Klassiker mit Furigana

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こういうきもち

斯ういう気持

宮本 百合子

Lesen Sie 斯ういう気持 (こういうきもち) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.379 Zeichen · 9 Bildschirme

Aozora Bunko

「――其那に困ってるんだろうか」

「そういう病気の人もあるわ、困ってなくったって」

「出ればいいね」

「そうよ! 本当に出れば私嬉しいわ、どんなに叱られてもいいから出た方がさっぱりするわよ」

自分が台処に居た時、独りで食卓の前に来た小幡が、丁度あの隅の雑誌を見て居たのに、立って玄関に出た。

「なあに」

「――ハンカチーフ」

其那問答をした、細かいことまで明瞭に思い出され、悉く意味ありげに感じられて来るのが、愛には苦痛であった。

「これにお前も懲ればいいさ」

愛は悄気て

「ほんとうよ」

と答えた。

「人には出来心って奴があるから、つまり此方がわるいのさ。――ただ、――どうもそう云う癖があるのは困りものだな――若しそうとすれば……」

小さい金入れの紛失から、彼等の蒙った金銭上の損害は僅少であった。中には、失望したろうと思われる位の小銭しか入って居なかった。ただ、机や用箪笥の鍵が共に無くなったのは不便であった。其とても、世間に同型のものが無いわけではない。――愛が心を曇らせたのは、小幡が此那ことで来なくなったりするのではないかと云うことであった。彼等にとって彼女は、無二の友というのではない。