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Japanische Klassiker mit Furigana

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にいづまのしゅき

新妻の手記

豊島 与志雄

Lesen Sie 新妻の手記 (にいづまのしゅき) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.807 Zeichen · 22 Bildschirme

Aozora Bunko

私はつとめて、そして安らかな微笑を以て、万事につけ、今日はお洗濯をして宜しいでしょうかを、母に尋ねた。母はいつもの通り指図をしてくれた。

そして或る晩、母はふいに、しばらくの間、和歌山にある生家へ行ってきたいと言いだした。久しく行かないから、先祖の墓参かたがた訪れるのだと言う。引き留める理由はなにもなかった。駒込の伯父さんへの口実も立つと、吉川は陰で私に、ばかなことを言った。男というものは、女の心理についてはまったく近視眼であるらしい。

「淋しいでしょうけれど、辛棒して下さいよ。どんなに長くなっても一ヶ月で帰って来ます。」

母はそう言って、家計簿をはじめすべてのものを、私の手に渡した。

思えば、表面は全く平穏無事で、何の風波もなかった。然し、母の心の中には、さまざまな暴風雨が荒れたことだろうと、私は自分の心中を顧みながら、推察するのである。私の方では、家庭という観念に変革が起って、新たな探求をこれから実践しなければならない。母はどういう途を歩むつもりであろうか。遅くも一ヶ月後には帰ってくることは確かだ。私は母を悲しみ、また心から愛している。これからは理解がゆこうとゆくまいと、何でも母に打ち明けて話すことにしようかしら。