Japanische Klassiker mit Furigana
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『しんしんやくげんじものがたり』あとがき
『新新訳源氏物語』あとがき
与謝野 晶子
Lesen Sie 『新新訳源氏物語』あとがき (『しんしんやくげんじものがたり』あとがき) von 与謝野 晶子 (よさのあきこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.350 Zeichen · 5 Bildschirme
氏は初期の私の歌集以来引きつづいて私を庇護してくれた人である。東京でまた店を開きたいという話を聞いて、私のできている新新訳『源氏物語』の話をし、そんなことが機縁になって東京で氏の再起がかなえばよいと相談した。氏は喜んでくれた。そのために氏の信仰の深い観音へ礼参りさえもされた。二十八年の昔に拙いものを書いて渡した私の成長を疑わなかったのである。いよいよ本が出るようになって私は滅罪の方法の許された神仏に合掌した。
私は源氏物語を前後二人の作者の手になったものと認めているが、その研究をここでこまかに述べることはできない。古来から宇治十帖は紫式部の女の大弐の三位の手になったといわれていた。徳川期の国学者は多くそれを否定した。私も昔はそうかと思わせられた。明治に久米邦武博士が或る謡曲雑誌に、源氏は数人の手になったものらしいと書かれた時に、久米氏は第一流の史学者であるが文学者ではないからと思い、私はそれを信じようとしなかった。新新訳にかかる数年前から私は源氏の作者が二人であることを知るようになった。前の作者の筆は藤のうら葉で終り、すべてがめでたくなり、源氏が太上天皇に上った後のことは金色で塗りつぶしたのであったが、大胆な後の作者は衰運に向った源氏を書き出した。