Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 187.757 Zeichen · 375 Bildschirme
しかし堂木山、神明山の二砦は木村隼人佑の監軍が厳しく出入を見張っているため、いずれも不成功に終って来た。そしてこの日までは、当の将監に近づくことさえ成り難いかと、折角の謀略もむなしく諦めるものになりかけていたところだった。
そこへ水野新六が、遂に、将監に会い、将監の返書を持って来たのである。佐久間兄弟の誇りは申すまでもない。老兵勝家が、わが術成れり、と喜悦斜めならず、それを甥の玄蕃允の殊勲として、
「骨折り骨折り」
と、ほくほく顔で労をねぎらったのも当然だった。
謀は利をもって計ること、古来からの常例である。勝家も、山路正国を説かすに香餌をもってした。――即ち越前坂井郡の丸岡城と、その近地併わせて十二万石を与えようという約束なのだ。正国はそれに目が眩んだ。彼自身は理由をたてて、みずからの醜に良心の目をふさごうとしたではあろうが、明らかに彼はすでに家門の名も生涯も利に売った人間と成り下がっていた。
老獪な勝家は、将監の利用価値は買っても、その人物を買ってはいないのだ。すでに利にうごく人間と彼すら観ているのである。いかにこれへ香餌を約束しておこうと、戦いが終れば、後の処置は意のままにつく。