Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 187.757 Zeichen · 375 Bildschirme
「馬のいななきが聞えた。――見て来い」
「はっ」
と対馬がそこの幕を上げたのと出あい頭に、やあと、いう者があった。清水谷に陣している佐久間勝政の部下今井角次なのである。
「一大事です」
まず、角次の第一語に、
「何の報らせか」
と、玄蕃允の声も弾み上がった。――よほど慌てているらしく、角次のことばは、火急の報告として、ひどく簡明を欠いていた。
「――今、物見の知らせによりますと、美濃路から木之本まで数里の間、夥しい松明や篝が、赤々と動き渡り、ただならぬ様子とのことにござります。――勝政様にも、必定、敵の移動ならん、早くお耳に入れよとのことに、駈け参りました」
「なに。美濃路から火の列じゃと? ……」
まだ玄蕃允には腑に落ちぬ顔いろであった。しかし、清水谷からの急報とひと足ちがいに、蜂ヶ峰の原房親からも、同様な異状をこれへ急告して来た。
陣中の将士は一斉に起きて、暗いざわめきの中にあった。忽ち、ここの波紋が拡がって、
(美濃路から秀吉がひっ返して来た――)
と伝わったからである。
が、玄蕃允はなお、
「よもや、まだ?」
と、半信半疑の体であった。固持する自己の公算からも割りきれない面持なのである。