Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 187.757 Zeichen · 375 Bildschirme
「射ろ射ろっ。弓の手」
と、代る代るに、烈しい矢攻めを喰わせて、敵の先手に、ひと泡ふかせ、見事、たじろがせたのであった。
それに対し――
秀吉の姿の見える中軍のあたりは、軍奉行、旗奉行たちの、叱咤の声が高かった。激越なる貝鉦のひびき、また、押太鼓の音が、鼕々、濤となって、先鑓を励ました。――組々の武者頭も、退くな、ただ突っ込め、殿軍の小勢のごとき、踏みつぶし踏みつぶし、駈けて通れっ――と声を嗄らし、
「つづけ」と、われから先を開いてゆくのである。
殿軍は、小勢ながら、地勢を利しており、羽柴方は、大軍ではあるが、狭隘な地なので、全力を注ぎ得ない。
しばらく、一進一退の、押しあい、揉みあいが、前方でくりかえされていた。
秀吉は、鉄砲隊へ、
「いちどに撃て」
と、命じた。
これは、敵兵を撃つものではない、敵軍を威圧するため、かねて丹羽長秀に諜じておいた大喊声を起すべく、のろし代りに撃たせた銃声であった。
銃声にこたえて、味方の賤ヶ嶽からも、諸所の散隊や砦々からも、いちどに、“わあッ”という鬨の声が揚った。
声の濤は、山を越え、余吾ノ湖を越え、木之本、田上山、堂木、神明、街道中ノ郷の諸部隊にまで呼応しつつ伝わって行ったので、さながら万雷一時に鳴る――の思いを敵になさしめた。