Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 187.757 Zeichen · 375 Bildschirme

Aozora Bunko

――すると、日頃はついぞわれから差し出たことのない勝助――小姓頭の毛受勝助家照が、つと走り出て、勝家の馬の前に平伏して云った。

「おねがいですっ。……大殿っ。その金の御幣のお馬印を、私に、拝領させて下さいまし」

馬印を賜わりたい――と、彼が主君に求めたのは、いうまでもなく、身をもって、後にふみ留まり、大将の身代りにならんと、われから志願して出たことにほかならない。

勝助は、その後、

「……何とぞ」

とばかり、ことば少なく、ひれ伏したままだった。

その姿には、決死とか、必死とか、猛ぶるものも見えず、平常、勝家の前で、小姓頭として仕えているときの挙止と何の変りもなかった。

「なに、馬印をくれいとか」

馬上の勝家は、地にある勝助の背を、あやしむ如く見すえてしまった。

左右の諸将も、ひとしい面持と眸を、勝助の上にそそぎ合った。

みな、意外に打たれたのである。なぜならば、およそ柴田家の近衆数多なうちでも、毛受勝助家照ほど、日頃、主の勝家から冷やかにあしらわれていた臣はない。

常々、勝助の無口も、そのための憂鬱だろうとさえ、いわれていたくらいである。

彼を、毛嫌いしていた勝家は、直接、誰よりもよくそれを知っていたであろう。