Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 187.757 Zeichen · 375 Bildschirme
その側に、金の御幣の馬印も、真っ赤になって、打ち捨てられていた。
坂上から――坂下から――閃々と勝助の身ひとつにつめよる無数の槍は、その馬印と、勝家なりと信ずる彼の首とを、賭け物のように、
「われこそ獲ん」
と、競い合った。
ほとんど、乱槍の状の下、毛受勝助は討死した。
(さすがは、鬼柴田よ――)
と、敵の名だたる武者輩をしてさえ、肌に粟を生ぜしめたほど、最後のたたかいは、勇猛無比であったという。
誰か知ろう。
日頃は、無口で、おとなしく、人いちばい好学温雅なるために、却って、勝家や盛政などからも余り好かれなかった白面二十五歳の若武者が――その面頬の下に純なる面をつつんでいようとは。
「柴田勝家を討ったりっ」
「金御幣の馬印、この手に、分捕ったりっ」
口々の名乗り声、凱歌の諸声、全山をゆるがして、しばし鳴りもやまなかった。
このときまだ、羽柴方では、その首級が、柴田勝家ではなく、身代りに立った毛受勝助であったことを知らなかったので――
勝家を討ったり!
北ノ庄の首級を挙げたぞ!
と、動揺めき立ち、それと共に、敵の馬印、金御幣も、奪った奪った、と揉み合うばかり喊呼してやまなかったが、ここで、困る問題は、毛受勝助の首を挙げた者は誰か? 馬印は誰の手に克ち取ったものか?