Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 187.757 Zeichen · 375 Bildschirme
「帰った」
とのみ、意中のことは、言外に措いていた。
「手負いも出た。城中に入れて、それぞれ厚く見て給われ。わしの世話は後でよい」
利家は式台を踏もうとしなかった。草鞋もぬがず、武装も解かない。そして大玄関の前に佇んだ。小姓たちも、静粛に立ち並び、何かを厳かに待つふうであった。
やがて、大手門からこれへ、幾組も幾組も、武者の群が静かに進んで来た。楯の上に寝かした戦死者の屍を守って来るのだった。甲冑の死骸の上には、その武士の誉れある指物が乗せられてあった。
十幾個の楯と指物が、城内持仏堂へ迎え入れられた。――次には、戦傷者が、負われたり、肩に扶けられたりして、べつの曲輪に入った。
この情景で見ると、茂山退陣の際に、前田軍が払った犠牲は、戦死十数名、戦傷三十七、八名であったことがわかる。
柴田、佐久間の比ではない。けれど利家夫妻が、この少数な犠牲者にたいする礼は鄭重を極めた。従来の場合とちがい、礼以上な、詫びる気持すらあるやに見えた。
持仏堂に鐘が鳴り、陽も夕ずく頃、城内城中には炊煙が立ちこめた。兵糧を取れと令せられたのだ。しかし、軍隊はなお解かれない。